秋の暮泣く子は鬼に呉れてやろ  奥坂まや

「呉れてやろ」という言い方は、いかにも昔話風で、鬼という登場人物(人物でいいのかはさておいて)にとても合っている。鬼のでる季節は、四季のなかではやはり秋が一番合う。紅葉の山々と鬼の色がとても合うからではないだろうか。
鬼がくるぞ。お化けがくるぞ。そう言って子を脅すということは、古くから行われてきた。言われた方は、怯え震えるだろうが、「呉れてやろ」の「やろ」が軽さをもっていることから、「もうっ」と苛立つ反面、本気ではないという親の愛情が見えてくる気がする。

句集『妣の国』(2011年 ふらんす堂)より。