樹齢という静かな数字つぐみ来る  宮崎斗士

逆に、年をとることにこんなにもこだわるのは、人間だけなのではないだろうか。樹は、静かにいつの間にか樹齢を増して幹が太くなってゆく。年々どっしりとした構えになっていくその姿は、「静かな数字」という表現が他の何よりもぴったりだ。つぐみは、晩秋にシベリアから大群でやってくる。騒がしいものと静かなものを隣り合わせるのは、ありきたりで面白くないようにも思うが、中七と下五で切れているので、その距離がうまく保たれているように思える。

句集『翌朝回路』(2005年 六花書林)より。