息子のネクタイを、父が解いてやる。
日本では、子どもの身の回りのたいていのことは母がしてやるのだが、男の装いであるネクタイなら、父の担当というのもうなずける。しかも、結んであげるのではなく、一通りの行事が終わって家に帰り、ネクタイを解く場面。「よく頑張ったな」という言葉でもかけてやるのかもしれない。「夜の秋」という、夏の終わりに秋の兆しの涼しさを感じる季語が、ネクタイを解いたときの解放感と、二人の涼しい距離感を感じさせてくれる。
こうやって、ホモソーシャルの絆はかたく結ばれる。
「ふらんす堂通信」最新号142号より。