寒木となりきるひかり枝にあり  綾部仁喜

寒木と、それになりきる光と、枝と。今見えている枝や木は、本当に枝なのか、それともなりきった光なのか。分からないほどにかがやく寒木。分からなくてもいいと思わせる美しさ。「なりきる」という語から漂うある種の必死さが、厳しい「寒」の字と呼び合う。冬木ではなく寒木を選んだ理由はそのあたりにあるか。

藤本美和子著『綾部仁喜の百句』(ふらんす堂 2014年10月)より。