冬晴れて君宛の手紙はすべて君に   佐藤文香

冬の日差しが入ってくる場所で、作者は手紙を振り分けているのだろう。振り分けるということで、同棲している様子までが見えてくる。君宛の手紙がすべて君にわたることは、当たり前のことなのに、振り分けることで誰から届いているのかを知ってしまい、中身を知りたい衝動に駆られていることがわかる。あえて、言葉でしっかりと自分に認識させて自分を律しているのだ。本当は見たい。けれど、見た私の様子を冬陽が見ているだろうから、後ろめたいことは、しない。葛藤はわかりやすく、日差しは温めてくれているのに、空気の冷たい様子が気持ちのヒヤリとした感じととてもあっている。
この句集の表紙に「レンアイ句集」とあるが、確かに恋愛句であふれている。

句集『君に目があり見開かれ』(2014年11月 港の人)より。