忘れられない「その日」があって、何年経って何回桜が咲き何回落葉が降り尽しても、消えない過去がある。「尽す」という語は、祈りを尽くす、言葉を尽くす、力を尽くす等、心を傾けて一生懸命に何かをなそうとする姿勢を感じさせる動詞だ。尽きるのではなく、尽くす落葉に、積極的な作者の意志を感じる。
角川「俳句」2015年1月号、新年詠7句より。エッセイに「阪神淡路大震災から二十年経つ年を迎える(中略)自然が問う言葉に心で応えたい」とあることから、汀子にとってのその日とは、阪神淡路大震災、つまり20年前の今日なのだと分かる。ほかにも次の句は、震災を思い返しての悼句だろう。
二十年いつか過ぎゐし年迎ふ
千羽鶴にも露霜の降りしもの
燃えつづく火よ鎮魂の冬の又