きらきらと軽やかで透明なしゃぼん玉と、くろぐろとごつごつと重たげな松の幹。しゃぼん玉が消えるのは瞬間、対して松の幹が成るには長い年月がかかっただろう。正反対のような二物が、春の風景の中で「避けてはくれぬ」のつなぎによって、有機的にかかわり合う。
ああ、松の幹をよけて、もう少ししゃぼん玉よ生き延びておくれと思いながら行方を見つめていたが、結局は予想通り松の幹にぶつかって、ぱちんと割れてしまった。「避けてはくれぬ」という発想が面白い。普通、いくらしゃぼん玉に頑張ってほしいからといって「松、避けて」とは思わない。
『自註現代俳句シリーズ 橋本美代子集』(俳人協会 2015年1月)より。