パイナップルジュース一口これは陽射し  野口る理

鴇田智哉さんの句集『凧と円柱』、すこしあとに、佐藤文香さんの句集『君に目があり見開かれ』がそれぞれ出版された。鴇田さんのは帯が黄色、文香さんのは本そのものが黄色で、それぞれのポップも黄色で。新宿紀伊国屋の詩歌コーナーの一角が、やけに眩しかった。すでにもう懐かしい。この句を読んで、ちょっと思い出した。

そして。この句も、かなり眩しい。一口飲んで、それを確かめるように見ると、飲む前よりも黄色が眩しくなっていた。おそらく(オシャレな)カフェの窓際の席で、陽射しも差し込んでいたのだろう。作者は、その陽射しをパイナップルジュースのものと取り違えてしまったのだろうか。「これは陽射し」の言い切りが気持ちよく、妙な説得力がある。

それにしても、おいしそうなパイナップルジュースである。