ふわふわとした体にしっかりとした翼、鋭い眼光を持つ「梟」に「足りない」もの、
それを「まつしろな紙」という。
ふわふわの「梟」と、ぴしっと、あるいはごわごわとした「紙」の対比が鮮やかな抽象的な句だ。
あえて読むなら、知の象徴とされる「梟」のまさにその知の蓄積を「足りない」ものとし、
白紙の状態となることこそ満たされている状態なのだという示唆も含まれているだろう。
「足りない」という口語や、「よ」という呼びかけの心もとなさが一層不足感を誘う。
第33回現代俳句新人賞受賞作「仮想空間」(『現代俳句 10月号』2現代俳句協会、015)より。