直感は光より疾し蝶の紋  和田悟朗

「紋」まで言ったことで消し難いリアリティが宿った。
要は、直感はとても速い、光ほどに、と言いたいわけだが、「光ほど疾し」では勢いが出ない、やはり光と比べてもそれ以上であると言い切ることで、直感を得たときの電流のようなひらめき感覚を句に走らせた。

『自句自解Ⅱベスト100 和田悟朗』(ふらんす堂 2015年10月)より。句集『風車』所収の作品。作者の自解は次のようなもの。

ひらひらと翅を翻し飛んでゆく蝶を見た。ぼくは直感的に翅の紋様を察知し、アゲハチョウ科のあの蝶であることを直感した。紋様を知るよりも速く直感でその蝶を識別してしまったのだった。これは少し妙な話だが、この蝶は、ぼくが紋様を見分けるよりも先に、自らの紋様を発信していたのだった。直感とは、このような不思議な存在力を交信し合う神秘的な相互作用である。しかしこの蝶は自らがこのような存在であることを知らないだろう。

取り合わせの形を取りながら、あくまで蝶と私との交感としての「直感」なのだ。俳句は十七音それのみで一個の命、有機体だと改めて思う。