町角に雪降る思い船が出る
日本一細長い佐田岬半島に行って来た。ひとみさんがこのところ俳句もしないで、カメラを担いで足繁く通っているのを、「一度は助手席に!」と懇願したのだった。助手にはならないのだが。
かつては「岬十三里」と呼ばれたほどの難所だったというが、今は整備されて「佐田岬マラソン」の幟が道沿いにはためいている。道がだんだん狭まっていくと「もう先っぽの方かしら」と、わくわくしてくる。眩しい海が開けたり消えたりする。
もう一人、宇和島に住む版画家松本さんが川之浜で合流してくる。地図を広げるとちょうど半島の真ん中あたりで、とても繊細な砂のビーチ。いぶし銀のような光を湛えて穏やかな海であった。
海に面した「しらす食堂」にて昼食をとる。天ぷら付きの<釜あげしらす御前>1,200円也。しらすを雪のように深く盛ったご飯が、それは美味しかった。
松本さんには、岬に訪ねたい人があった。目指してきた阿弥陀池の傍に車を止めて、三人で目指す家を探す。狭い道沿に、手入れされた防風垣が続く。
「ちょっと道を聞いてくる」と、松本さんが作業小屋に入って行く。しばらくして「蜜柑を頂いたよ」と、にこにこして出てきた。この辺りは「佐田」という地名らしい。
家は無事見つかったが、彼が会いたかった刷り師の人は留守だった。応対して下さった奥さんが「隣町までパチンコに行ってるんですよ。いつも夕方まで帰ってきません」と、申訳なさそうに告げた。
家を辞して、三崎港まで出た。九州行のフェリーが着岸したばかりだった。
今日は岬の四分の三くらいまで来た。ひたすらシャッターを押しているひとみさんを横目に私は、「次は佐田岬灯台まで便乗させてもらお」と、企んでいた。