街や家に飾られ、クリスマスをいろどる「聖樹」。
これらの樹がどこからきたかをたどると、それは「森」なのである。
そこにある街路樹や庭木を飾ったものだとしても、先祖をたどればきっと「森」。
「聖」なるもののエッセンスが「森」に秘められているようだ。
「それぞれに」であるから一本だけではない。離れるさみしさだけではなく、どこか心強い。
聖樹が聖樹となるまでの物語を、読者に語ってしまうのではなく想像させる文体。
そして我々もまた、それぞれにどこかを離れてきた存在なのかもしれない。
『森を離れて』(角川文化振興財団、2015)より。