荷をほどくジッパーの溝にまで雪 江渡華子

作者のふるさとが青森だと思うと、これは青森の雪かなと思う。きっと吹雪の中を帰ってきたのだ。ようやく家に辿り着いて、ほっと一息。さて、荷物の整理をしようか、とバッグのジッパーを開こうとしたところだろう。「ジッパーの溝にまで雪」は非常に細かいところを見逃さずに捉えた発見の驚きがあって、面白い。あの小さな溝のひとつひとつにまで雪が詰まっていたのだ。雪には慣れた作者だと思うけれど、雪を見る目は新鮮さを失ってはいない。むしろトリビアルなところを詠むことで、「雪」の描き方を刷新しているかのよう。「ジッパーの溝の雪」が戸外の雪の激しさをありありと見せてくれている。