ふるさとは水がでるまで掘る遊び  摂津幸彦

もしかしたら、大人は本当に水を欲している土地かもしれない。子供が無邪気に遊ぶことは、子供から大人がどう見えているか、表していることが多い。

小さい頃、庭をひたすら掘ることが自分のブームだったことがある。ひたすら掘ると、石がでてきて、さらに掘ると粘土っぽい赤土が出てくる。水が出たことはついにはなかったが、後の理科の授業に大いに役立った。

 

この句に季語はないが、水を欲するのは、やはり夏だから、暑い日であるだろうと思う。作者のふるさとは、夏になると、かならず水不足になるのだろう。そんなふるさとを暑い日に思い出すのだ。「ふるさとは」としていることから、ふるさと意外がそうではないということが分かる。ふるさとから遠く離れた土地の子供は、土を掘らないのかもしれない。

 

「ふるさと」がひらがな表記であることから、この「ふるさと」が水がなくとも、やさしい土地に見えてくる。

 

摂津幸彦選集(邑書林 2006年)より。

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