正午おお!昼飯の誘惑に満ち!
「ノニノニごはんだよー」
飼い主御中虫が呼ぶので走っていくと、
「待て!」と頭を押さえつけられた。
「く…くるしいよ虫…はやくごはん…」
「いま11時59分なのだからあと1分まって?10、9、8、7、…よし!叫べ!」
「さ、叫べってナニを!?」
「ああんもう鈍いノニノニだなあーこの流れでいったら掲句に決まってんじゃん!」
そうか、さ、叫ぶのか…。。
「正午おお!昼飯の誘惑に満ち!」
「声がちいさーい!やり直し!」
エエエエエ…
「正午おお!!!昼飯の誘惑に満ち!!!」
「ふむ、まあまあね。はい、食べてよし」
私は餌に食いつきながら聞いてみた。
「でもなんで叫ぶわけ?」
「あたし思ったのよ。あたしの句ってしばしば『絶叫』だの『叫び』だの言われるのよ。ならイッソ、最初から『叫ぶための俳句』をこしらえてはいかがかと」
「ほほぅ…でもこれって俳句なのかな?」
「むろん、俳句よ。あたしが俳句って思ったらそれは俳句なのよ」
ひどい定義であるが、この人はそんなこと聞いてくれない。
「それでね、思ったの。毎日正午になるわよね。そうすると、どの企業どの会社どの学校でも一斉に、この句を全員で叫ぶ!そして昼食をいただくの。どう?」
「どうって…『いただきます』でいいじゃん」
「『いただきます』~?感動のかけらもない言葉ね!そんなだから日本人は無感動だなんて諸外国の奴らに虚仮にされるのよー!」
「うーんそうかな」
「そうよ。とにかくあんたは今日からこの俳句を叫ばないと、ごはんあげないからね!」
「ええ~。虫は?」
「あたし?あたしは叫ばないわよ。だってあたしはそもそも昼ごはん食べないもの~♪」
なんか、ズルイ。。。