階段というものは不思議なもので、それぞれ独特の匂いを持っている。それは、晴れの日や雨の日、四季折々の匂いで、階段を上る途中に、「あぁ、晩夏だな」と感じさせてくれたりする。実家の階段は、上った先に窓があるため、吹き抜ける風がより季節を教えてくれていた気がする。
「家うちの階段」ということで、本当に考えているのは、家の外で、夏の雨に濡れている階段だということがわかる。ふと、雨の日に思い出される階段というのは、どういう階段なのだろうか。熱せられたコンクリートを濡らすからか、夏の雨はより強い匂いを持っている。階段の匂いと雨の匂い。それぞれが混じりあい、より夏独特の匂いになる。屋内の階段は、いまいち匂いが薄いため、作者は外に濡れる階段に思いをはせるのだろう。
句集『夜さり』(角川書店 2004年)より。