太陽系の中に真理ははないらしい
飼い主御中虫がぺろぺろキャンデーを舐めながら「ああ~なんだかへこむ、へこむわ~」としきりに言っている。
「なにかあった?」
「うーん、簡単に説明するのは難しいんだけどさーホーキンス博士の『人間存在の真理』てゆう文章読んでたらなんだかへこんじゃってさ」
「たとえば?」
「うーんと…『肉体は、唯一の“Self”の現れであって、そして、この次元を体験することによって、一時的に自らの真実を忘れてしまう。だから、三次元世界の幻想が現れる。肉体というものは、コミュニケーションをするための、ある手段に過ぎない』とか」
「『万物は、それ自身が形を(目などの)知覚として、「顕在」「開かれた」「外在する」(目で見えるものという)表現をもって、「非-顕在」「織り込まれた」「内在する」(こころの)宇宙に同時に、存在している。実際にこれらの形は、独立した存在として内在(実在は無限の創造主/brahmanのみ)せず、ただ、(目などの)知覚の産物である』とか」
「うーん…僕には難しくてよくわからないなあ」
「あたしにだってわかんないけどさーなんかニヒリスティックじゃない?これって。どうゆう論考の果てに得た結論か知らないけどさーこんな世界観で生きてて楽しいかホーキンス?なんならあたしがそのものごっつメカニカルな車椅子奪ってやろうか?」
「やめてください全世界を敵に回します」
「しかもだよノニノニ君、」と御中虫は言い、
「すなわち、人間は単に、自分自身の心の内側(創造主の仮の姿である自我/atman)を、経験しているにすぎない…こんなことゆーんだよー!!寂しい!寂しいぞホーキンス君!」
「寂しいとかそういう問題じゃないと思うけど…」
「だからいいの、あたしはもう太陽系は捨てた」
「え」
「まあ彼の理論は宇宙全体に及んでいるようだけどね、それはちょっと欲張りでしょうが。だから、太陽系だけホーキンス理論にあげるよ。虫はその外でもっと前向きで素朴な真理を探すよ!」
「そうですか。そういえば、そのぺろぺろキャンデーの模様、銀河系に似てるよね」
「おお…この渦巻きは真理かな?」