私が抱いている鶏派手である  阿部完市 

句集『地動説』(角川書店 平成16年)より引いた。この句集には鶏がよく出てくる。

 

派手な鳥というと、私は一番ににわとりの雄を思い出す。赤い耳朶と緑の尾の組み合わせは、華やかというより、派手な印象がある。生まれて初めて会った、色味のある鳥であることも、一つの理由ではある。「鶏」の漢字が使用されているから、私の発想もそう遠くはないのだろう。

 

まったくシチュエーションがわからない句である。そして、人を脱力させる句である。この言葉は、ある特定の人へ向けて発生しているものではない。何かに向けて発信しているようで、何にも向けていない状態に思える。ただ、事実を述べたいだけなのだ。そこに意味はなく、この言葉が独り言なのかわからない。

 

両手におさまっている鶏は温かく、他の鶏と違うところが特別なように思える。この、思わず声に出てしまったという感じに、きゅんとする。

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