娘のお気に入りの歌に、「夏はとっても素敵だな」というのがあり、その一番の歌詞に蝉におしっこをかけられるというものがある。
なつはとってもすてきだな
ほんとにうれしいな
おひさまピカピカ ヘビはニョロニョロ
セミにおしっこかけられた
ほんとにすてきだな ほんとにすてきだな
(「夏のうた」 作詞・作曲 峯 陽)
初めて聴いたときは結構な衝撃だったが、蝉のおしっこさえも素敵だと思えるほど前向きならば人生も楽しそうだなと思う。
蝉は通常元気な限り我々よりも高い位置にいるため、おしっこが飛んで来ると、雨かな?と天を仰ぐ。原因が蝉のおしっこだとわかると、気分が落ちるが、見上げたことで真っ青な空が目に飛び込むのだ。その青は昨日の青とも違い、きっと明日の青とも違うだろう。目線の動きが作者と同調しやすく、終わり方に希望の持てる句だ。
句集『遅日の岸』(2015年4月 ふらんす堂)より