唐辛子吊って雨だれ揃ひ落つ  石田勝彦

唐辛子が横に縦にたくさん吊られている。唐辛子とは、確かにひとつひとつ形は違うものの、基本的な形があるものなので、結局はつなげられた一連の向きは一緒になりがちだ。それは、先端が一緒の方向を向くことを示し、雨だれが必然的に揃って落ちることを表している。赤く色づいた唐辛子が水をはじく美しい状態が見えてくる。
そして、た行が多用されていることから、その音の並びがまるで雨音のように思える。

句集『鷗』(ふらんす堂 1999年)より。