明るさは私のとりえ秋刀魚焼く  矢野玲奈

人からも言われ、自分でもそうだと思っている長所なのだろう。しかし、納得しきっていない気持ちもあるのではないだろうか。あえて自分のとりえを明るさだと俳句にしている。それは、言い聞かせているようにも見える。秋刀魚はグリルにさえ入れれば、特に焼いている間にすることはない。グリルの中で焼かれる秋刀魚をじっと見つめながら、「明るさは私のとりえ」だということを考える。考えながら、悶々としている自分の長所が本当に明るさなのか、わからなくもなる。人の評価や自分の評価に悶々としながらも、秋刀魚を焼き、秋を迎え入れようという前向きさがあり、やはり作者は明るいひとなのだろうと思う。

『セレクション俳人プラス新撰21』(邑書林 2009年)より。