花のうへ花散る吾児よごめんなさい  マブソン青眼

「福島原発事故」の前書きあり。

美しく散る桜の花びらをうっとりと眺めていたら、いつのまにかそれが放射性物質の降り積もるさまにすりかわっていくようで、恐ろしい。「ごめんなさい」という言葉を口にしなければいけないのは、彼だけじゃない。ひとつの家族の「ごめんなさい」が、すべてのごめんなさいを代表しようとしている。

『フクシマ以後 青眼句会合同句集』(参月庵<私家版> 2011.9.11)冒頭の一句。マブソン自身、「福島の原発事故という人災のみを扱い、同時に起こった天災(地震・津波)から切り離して句集を編むのは、初の試み」と述べるように、福島の原発事故を扱った私家版の合同句集だ。セシウムや被爆といった言葉や表層の出来事が書き取られているのみにとどまる句も多いが、中にはえぐられるような俳句もある。そうした句は、この世界に対して、責任をとろうとしていて、単なる批判に終わらない。吾児に「ごめんなさい」という姿勢もまた、責任を負う人の姿勢だろう。

 

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