「数へ日」とは、新年までの日数が数えるほどしかない、ということだ。
今年があと少しであることを惜しむとともに、新年への待ち遠しさが感じられる季語である。
それはそれとして、である。そのうちのひと日が、「母の忌日」である、という。
この世に残された人たちは、なおも今年が終わったり新年が始まったりするが、
あの世の「母」は、忙しいこの世の年の暮れをどのように思っているだろうか。
いったい何を数えていたのか、というところが、ブレそうでブレないところが面白い。
文体のクールさが、「数へ日」にも「母の忌日」にも強さを与えている。
『隼の胸』(ふらんす堂、2011.9)より。