玉のような「汗」が流れている。
先にゆっくりとすべり落ちてゆく汗に、後ろから速いスピードですべり落ちる汗がぶつかり、
そしてひとつの汗の玉となって、肌の上をすべってゆくのである。
「急く」と表現することによって、「汗」に意志があるようだ。
散文ではこのように長々と説明しなければならないが、俳句形式がそれを受け止めている。
汗の流れる暑い情景であるにも関わらず、あまり暑さを感じないのは、
汗をじっくり見ている余裕と、汗が涼しげな水の流れのように表現されているからであろう。
『綠廊(パーゴラ)』(角川学芸出版、2009)より。