月島のどの路地からも同じ月  西原天気

出版されたての句集『けむり』(西田書店 2011年10月)より。
月島は、川があるからか、地面がやけに低いように感じる。昔ながらのお店が並ぶ商店街の路地。それでも、最近はビル建設が進み、建物が高くなってきた。
この月は、丁度真上もしくは結構高い位置にのぼっているのだろう。どの路地からも見えるということは、そういうことだ。月は一つしか存在しないのだから、違う月というものはないし、地球にいる限り月の見え方というものはどこに行っても大差ないだろう。それでも、その土地が月に愛されているな、気がするのは月島という名前だからだろうか。(だ、だじゃれ?)路地をぬけ、新たに入った路地で、同じ月が見えているという状態は、どこか安心するし、一人になれる場所がないということで、少し不安にもなる。