恋ともちがふ紅葉の岸をともにして  飯島晴子

どうにも言い難い男女の関係ってよくあると思う。ある程度の好意を持っていて、仲もよい。
よく、男女に友情はありえるのかといった質問を聞くことがある。私は女だけれども、男友達はいるから、答えは「ある」になるのだが、まず異性の友達に同性の友達と同じ友情を求めるから、そんなスパイラルに陥る質問になるのだ。
作者は、一緒にいる異性に好意を抱いているものの、恋とは違うという結論だけを出している。紅葉の素敵な岸にいるにもかかわらず、ロマンチックな環境に惑わされず、自分にとっての相手のステータスを考えている作者が、冷静で面白い。
『覚えておきたい極めつけの名句1000』(角川学芸出版 平成20年)より。