みづうみに靴を失なふ秋の雲  上田信治

『落選展2011』(週刊俳句236号 2011年10月30日)より。

毎年行われるこの落選展は、角川学芸出版主催の「角川俳句賞」に落選したものが集まっている。
コメントで批評をしあう場だ。

いくつかのページを開いて、まず惹かれた句だ。靴とともにみづうみに引き込まれたその引力で、自分もぐーっと冷たく暗い水の中に意識を持って行かれたのだが、そのあと「秋の雲」とすることで、一気に空へと意識が持ち上げられる。その高低差につかれもするのだが、後味が悪くない。しかし、喪失感は残る。不思議な引力をもった句だ。

落選展2011には、900句以上の句が集まっている。
句の種類の多さも楽しめるが、何よりトップ画像がかわいくてユーモアがある。そういえば、明日がハロウィーンだ。