木耳を採つてぷるぷるさせてみる  小島健

きくらげは、まさに「ぷるぷる」している。弾力があって、震動を与えると揺れそうだ。茸狩で、生えているきくらげを摘み取ったとき、その揺れようが面白くて、もうちょっと振ってみた。「ぷるぷるさせてみる」という茶目っ気が楽しい。

『現代俳句文庫 小島健句集』(ふらんす堂 2011年9月)より。小島さんのこれまでの作品から、自選400句が掲載されている。小島さんの句は、おおぶりな把握のなかにチャーミングな一面がのぞく。

裸子の尻の青あざまてまてまて
白鳥の武士(もののふ)のこゑわたりけり
喉に水まつすぐ落ちて夏の山
白鳥の首やはらかく混み合へり
野うさぎの糞のさみどり雪解水
妖精にお尻ありけりさくらんぼ
雪しんしん耳の大きくなりゆくか