アンドロメダ星雲背高泡立草  五島高資

背高泡立草は、海外からやってきた害草。秋の花粉アレルギーの原因にもなっていて、人からうとまれる花だ。たしかに、あの黄色は、なんとなく癪にさわるかんじがする。非常にしぶとく根を張るので、駆除するのも大変だ。実家の近くの空き地に生えていた背高泡立草は、いくら引いても、次々、わさわさと育ってきて、いつまでも存在感をはなっていた。
そんなうとまれ役の背高泡立草も、夜は、しずかに風に吹かれている。「アンドロメダ星雲」という清冽な美と並列されることで、背高泡立草も、意味を脱ぎ捨てて、ありのままの姿で夜風に吹かれているみたいだ。のびのびしている。ふだん、花として愛でてもらえないものが、逆に、花らしく扱ってもらえているところが面白い。ここにも、価値観の逆転がある。

『五島高資句集』(文学の森 平成16年9月)より。

大学に入って、俳句の本を読むようになってから、いろいろ読みあさった。中でも、この五島さんの句集は気に入って、枕元において、バイブルのように繰り返し読んだ。今でも、暗誦できる句がたくさんある。口語の現在の、ひとつの到達点は、ここにあるだろう。

次に来るかみなりを待つ腕枕
おこられて今夜はにんにくのかたち
もう来ない雪の街には塔がある
まだ奥に部屋ありそうな水羊羹
口開けて叫ばずシャワー浴びており
クリスマスツリーは逆さまだと思う
全力で立つ空びんに薔薇の花

なんというか、全力なのだ。一句のことばが。無防備で、しかし自分で立っている。