雷鳴やすでにはげしき草の雨  高柳克弘

雷鳴を前に人間は、光と音に圧倒され怯えつつも、どこか興奮してしまう。
雨が激しくなっていることに気がつかないほどに心を奪う雷鳴。
「すでに」という言葉に、心の機微が見える。
そして、抑制を感じさせる「草の雨」が美しい。

『第一回田中裕明賞』(ふらんす堂、2011.5)より引いた。
田中裕明賞とは、田中裕明を顕彰し、俳句の未来をになう若い俳人を育てるという主旨のもとに設立された賞である。第一回は、掲句の作者でもある高柳克弘の『未踏』(ふらんす堂、2009)が受賞した(第二回は受賞作品なし)。この『第一回田中裕明賞』には、選考過程、受賞記念句会、授賞式の詳細が丁寧に書かれている。

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