霜柱報告少女耳あかき   藤田哲史

“なにか”を伝えたいときに思い浮かぶその人のことを、私達は愛しているのかもしれない。
霜柱を見つけたことを、その人に伝えようと、
息を切らし耳を真っ赤にして駆けて来る少女の姿が見えてくる。
それを愛おしく見つめる人と、この幸せにまだ気づいていないかもしれない少女。
「霜柱」の透明感と、一句の言葉遣いのスピード感が、きれいだ。

角川俳句賞候補作品「朝の声」(『俳句 11月号』角川学芸出版、2011)より。