教会に並ぶ長靴冬紅葉  高勢祥子

『水音』(週刊俳句 241号)より

私が通った幼稚園はカトリック幼稚園だった。私は母がいつも送り迎えをしてくれたから(家が近所だったし)幼稚園にのこることもなかったが、親御さんが働いている子は、よく幼稚園に残っていた。
ある日たまたま幼稚園に隣接している教会に行く機会があって、のぞいてみると、そこには親が迎えに来るまで残っている子たちの長靴が並んでいて、こんなにも人が残っているのかと衝撃を受けた気がする。
教会にいる子は、親が迎えにくるのを待つ子が主だ。冬紅葉はすべて知っていて見守り続けるのだ。今年去る子も、来年来る子も、すべてを見送り、送り届け、そこに存在するのだ。