山茶花や潮に乗り来る海の鯊  水原秋桜子

『新装版 水原秋桜子自選自解句集』(講談社 2007年)より。

きちんと見てみるとまったく違うのだが、「崖の上のポニョ」で描かれた海を思い出す。それは、やはり勢いという共通点があるからだろう。山茶花で切ることによって生まれる距離感がとても好きだ。波に乗ってくるのではなく、潮に乗ってくるのもいいと思う。
「崖の上のぽにょ」で波がつれてきたのはぽにょで、この海の鯊もなんだか幸せのひとつなのではないかと思う。自分の位置は動かないのだが、情景は広く、動きがあって、気持ちのいい句だ。