木と霜と少女の髪を見しは朝  渡邊白泉

木があって、霜が降りて、髪をなびかせて少女がゆく。そんな朝の光景。俳句にパッキングするときに、どんな風に言葉を詰めようか、っていう、その詰め方で、どこまでも俳句は新鮮になるのだなあと、白泉の句なんかを見ていると、感嘆する。この句も「髪」まで書いたことで、一気にリアルになった。句の核がぎゅっと決まった感じだ。昨日の句が、胡桃の「皺」まで書いたのと同じように。

『渡邊白泉全句集』(沖積舎、平成17年)より。昭和13年作。同時発表作品の「冬晴の高屋窓秋の左手なり」は、謎な句。わたしは、高屋窓秋が、冬晴のなか左手を挙げてやってくる、それを見て「あ、左利きやん」と思う、てな感じをおもったけれど、実際は、もっとシュールな句かもしれない。