ごろすけほう眠れよ眠れ眠れば死  原雅子

「ごろすけほう」は、梟の鳴き声。夜、どこからか、ごろすけほう、ごろすけほうと、梟の声が聞こえてくる。その声は、わたしたちを寝かしつけてくれる、やさしさを帯びているようにも感じられるし、一方で、不安へといざなう不穏さも持ち合わせている。「眠れよ眠れ」と、子守唄のように寝かしつけておきながら、最後に「眠れば死」と、眠りの先には死があることをつきつける。でも、よくよく考えてみれば、その真理はそんなに怖いことでもなくて、幾万の眠りののちには、たしかに死が待っているのだ。
「ごろすけほう眠れよ眠れ眠れば死」と、俳句を舌の上で転がしていると、だんだんに癒されていく。呪詛ではなく、子守唄なのだ、やはり。

ひとは、梟という生き物に対峙すると、人生や死について考える傾向にあるようだが、それはやはり、夜のもつタナトスの匂いにさそわれてのことなのだろうか。

第2句集『束の間』(角川書店、2011年8月)より。