芹摘んでますます靑し死後の景   閒村俊一

(「ますます」は「ます/\」と表記)
みずみずしい芹を摘むと、香りはもちろん、ふわーっとなにかが広がる気がする。
ふわーっとしたなにかが、この生きている世界だけではなく、「死後の景」にまで伝わるのだ。
「ますます」という表現から分かるように、死後の景はもともと青いものなのだろう。
この世とあの世をつなぐものとして、芹の香がとてもしっくりくる。

『鶴の鬱』(角川書店、2007)より。