雛飾る四五冊の本片寄せて  山本洋子

四五冊の本をすっと寄せて、書棚のスペースを空け、雛を飾る。雛段を出してきちんと飾るのではないということは、もう雛を飾るような年齢からは遠く離れて、一人もしくは二人でつつましく生活しているのだろう。本四五冊分のスペースにちょうどおさまる雛は、小さく、愛らしく、ちょっとさみしい。

昨年夏に出た第六句集『夏木』(ふらんす堂、2011年7月)より。この句集にて俳人協会賞受賞。