春泥に贔屓の穴を作りけり   山田耕司

人間がすっぽり入ってしまうほどの大きな穴もいいけれど、
他の人は気が付かないような、さりげない小さな穴をイメージして読みたい。そんな穴だらけの世界。
「贔屓」という言葉とは裏腹になんの欲もない、ただただ素敵な「穴」であることの眩しさ。
穴を開けられているはずの「春泥」に、穴を包み込まれるような感覚になるのは、あたたかさのせいか。

『大風呂敷』(大風呂敷出版局、2010)より。