濡れて着く旅信一葉春暮るる  永島靖子

実際は自分の住んでいる土地が雨だったのだろうが、遠い地の雨をはがきが持ってきたように思える。インクがにじみ、紙はよれているけれど、趣が生まれ旅先の匂いまでしそうだ。旅先でふと自分を思ってくれたことのうれしさもすべてはがきのみずみずしさに収められている。

『鷹』 第49巻第7号(平成24年7月)より