口論や金魚の水のまつたひら  如月真菜

はげしい口論。それとはかかわりのない金魚の水。震動が起こればゆらめく金魚の水槽の水が「まつたひら」ということは、口論の激しさと対比させる静けさとして置かれているのだ。口論している人たちはあくまで背景で、主役はあくまで金魚の水であるところも、構図が面白い。

第二句集『菊子』(ふらんす堂・2007年2月)より。