長野で先生になる!

7月は、小学校で俳句の授業をする機会が何度かありました。
そのひとつが、NHKのEテレ「俳句さく咲く」の収録。

NHK「俳句さく咲く」HP

俳句の先生役として出演しています。
子どもたちの俳句がたくさん紹介されるほか、「プール」という題で句会もやっています。
江東区の八名川小学校で、六年生のみなさんと校内吟行をして俳句を作ってきました。わざわざ出かけていかなくても、学校の中にたくさん季語がある、だから学校の中でもたくさん俳句を作ることができるんだ、ということが伝わればいいなと思っています。

7月22日(日)朝6:35~6:50まで。再放送は翌25日(水)午後です。

もうひとつ、7月9~11日の3日間、長野の小中高校で、俳句の授業をしてきました。

信濃毎日新聞がここ数年、力を入れて取り組んでいる「フォト×俳句」の企画の一環でした。「フォト×俳句」とは、写真と俳句を組み合わせてひとつの作品にしたもののこと。信濃毎日新聞では、誌面で毎週投稿作品を掲載しているほか、10月の連休に「フォト×俳句選手権」を開催しています。そのジュニアの部の参加をぜひ促したいということで、今回の企画が。

ということで、単なる俳句の授業ではなく、「フォト×俳句」の授業!写真から俳句を作ってもらうという、いわゆる“応用編”に、生徒のみなさんたちと挑戦することに。

伺ったのは、小学校2、中学校1、高校2の計5校。

小・中学校では、各クラスでまず俳句を作ってもらい、最後に全クラス分の講評を合同で行う、という流れだったので、授業数もたっぷり。学校の先生は、毎日、こんなにハードな生活を送ってらっしゃるのね!と感服すると同時に、これだけ授業をしても飽きない私は、つくづく俳句が好きなんだなあと再認識しました。

まずは、各クラスで俳句についての説明。そのあとみんなに思いつく季語をあげてもらって、季語は難しいルールじゃない、私たちの生活にたくさん存在している身近なものなんだってことを確認。そして、実際に一句を作ってもらう写真を発表。ヒントを出しつつ、その写真から想像できるものを自由に作ってもらい、アドバイスしながら一句にまとめる作業へ。「できないよ~」なんて言っていた子どもたちも「この写真のチワワかわいい」「この猫はぜったい年寄りだ!」などと、写真の前で語り合い、いつの間にか俳句を作っていました。

一学年、全クラスの授業が終わると、今度は発表会へ。

初日の小学校では、いち学年の人数が50人程度だったため、お互いに好きな句を選ぶ互選形式をとりました。

仲間たちの俳句を、真剣に選ぶ子どもたち。附箋に自分の名前を書いて、選んだ作品の短冊に、ぺっと貼ってもらいました。そのあと、私のほうから、すべての作品についてコメントを。特によかった金銀銅を決めて表彰し、新聞の紙面にも掲載することになりました。ほかの学校では、私のほうからコメントをするのみでしたが、作者を伏せたままで講評するので、コメントのあと「さて、これはどなたの句でしょう」というと、みんなが「誰、誰の句?」ときょろきょろあたりを見回す姿が。「だりーよ」みたいにダレている男の子たちも、作者は気になるようで「誰の句ですか」といったとたん、顔をあげて作者を確認している姿がかわいらしかった。

午後は、吉田高校へ。いくつか俳句作品を紹介したあと、文芸部のみなさんと先生たちと一緒に、句会を。

題は「ハンカチ」。自由律の俳句を作る先生もいたりして、非常に面白かった。二日目の午後は、松本市内まで移動して、俳句甲子園に出場予定の松本第一高校へ。俳句甲子園の兼題でつくった俳句で、句会をしました。一生懸命質問してくれる姿、自分だけでなく仲間の俳句の良さを熱弁してくれる姿を見るにつけ、この子たちは俳句が大好きなんだなあということが分かり、嬉しいかぎりでした。

これは中学校での授業風景。中学校では、俳句をつくるのに加えて、現代俳句の作品を15句ほど紹介しました。教科書の教養としての俳句だけではない、さみしい夜や辛い朝に寄り添ってくれるような、そして頑張らなきゃいけないときに元気をくれるような俳句もあるんだよっていう話を。

俳句の授業なんていうものをさせてもらっていますが、決して、巧い俳句を作ってもらいたいわけじゃないんだよなー、と。もちろん、小学生でもすぐに、大人も評価できる巧い句を作るセオリーを教えることは簡単なのですが、でも、それって彼らにとって必要なのかな?と。むしろ、詠みたい対象や出来事、思い出と向き合って、それをどんなふうに言葉にしようか格闘する、そして出来た自分の分身みたいな俳句が、どんな風に仲間や先生に読まれるかを楽しみに待つ。そのこと自体に意味があると思うのです。

とはいえですね、そんなふうに悠長に言えるのは、みんな「俳句作りましょう」と呼びかければ、俳句が作れちゃうからなのです。日本語が喋れて、575の数がかぞえられれば、俳句は作れる。だから、小学生でも、すぐ俳句ができるのです。その中には、何も教えなくても、本当にいい句がたくさんあります。

きっと私のできることは、そうして出来た俳句を見つけて読み、解釈していくことなんだろうと思います。読み方を教えることが、どんなふうに作ればいいかという映し鏡にもなるわけで、作者としてだけでなく、読者として言葉を享受する楽しみを、子どもたちにはぜひ知ってほしい。・・・なんて、こうやって書くとちょっとおおげさになりますけど、学校で教える機会をいただくにつけ、そんなこと考えています。

信濃毎日新聞のみなさんには、今回も歓待していただく(ありがとうございました!)

今回授業をした様子は、信濃毎日新聞の紙面で、先週紹介されたようです。子どもたちの俳句が掲載されているはずなので、彼らの感性を楽しんでいただければ。

なんでも、しなの鉄道は鉄道ファンにはたまらない場所らしく、というのも、ほかの路線で使われなくなった中古車両を再利用して使っているのだそうだ。踊り子号とか、東京の地下鉄の電車とか、いろんな電車が次々やってくるので、マニア垂涎とのこと。私も、ちょうど特急列車がやってきたので、撮り鉄さんのように紫陽花ごしの写真を撮ってみました。まだまだアングルがダメですね!