春風が消えにはとりも暗くなる  飯田龍太

にわとりにさしていた春の日差しが遠のいて、輝いていた羽やくちばしがいつもの色に戻ってしまった。この句は、春の日差しではなく「春風」が消えているというところが面白いが「暗くなる」のところで結局、春の日差しを思い出させられる。口語調で無造作に言いおくことで、にわとりがぽつんと寒さの中に取り残されているような感じが出ている。

句集『童眸』(角川書店・昭和三十四年)より。