つぶあん派こしあん派ゐて月を待つ   金子敦

私も妹もこしあん派なおかげで、小さい頃からあんまんはいつも中村屋のあんまんだった。セブンイレブンのあんまんは中村屋のだったので、飲んで遅くなるときはよく妹に買って帰った。もっと言えば最中はゴマ餡が好きだけれど、だれが何派だなんて、結局はさほど興味がなくて、時間を潰すためのたわいのない会話だ。会話を流すようにしていても、みんなの目的は一緒で、今宵の月を一緒に見るということなのだ。その穏やかな感情や情景に惹かれる。

週刊俳句283号「月を待つ」より。