根深引く男といふは煙なり   八田木枯

「根深」とは葱のこと。「根深引く」で切れていると読みたい。
男というものは煙のようなもの、と、定まらないものに哀愁やロマンを投影している。
この中七下五のフレーズはなんとも酔いしれていて、自己愛的ダンディズムを意識させる。
酔いしれている句は、本来あまり好みではないのだが、
掲句は、葱のたしかな白さと煙のふたしかな白さが重なりあうところが魅力的だ。

『夜さり』(角川書店、2004)より。