豚の尾のくるりと回り冬さらば   中村与謝男

ピンク色の体に細いしっぽがくるんと巻いている豚の姿は愛くるしい。
豚が尾を少し振っているのだろうか、「回」るという動きのある景にしているのが意表を突く。
「冬さらば」と言っているので、手を振っている様子にも重ねているのだろう。
上五中七の柔らかな景と、キリッとした下五の取り合わせがあざやかで楽しい。
冬の終りの明るい陽射しが感じられる和やかな一句。

「諸家自選五句」(『俳句年鑑 2013年版』角川学芸出版)