冬の、寒い海の上にあるものたちは、太陽を拒むものなどいない。理屈で考えてもそうで、俳句ではよく「理屈で成り立っている句はダメ」と言われるけれど、この句の場合、理屈そのとおりなのにあまり嫌味な感じがしない。それは、太陽を浴びたいと身をさらしているものたちの震えや喜びが、句に満ち満ちているから、だろうか。
「寒の海」はほとんど音もなく静かで、でもその静けさの中にも生きている命があるのだということを指摘することは、寒の海という季語を踏まえたうえで考えれば新鮮なのかも。そして、海そのものも、太陽を拒まない。朝日を浴び、夕日に染められる。さらされた命たちのむき出しの生を感じる。
第十句集『風車』(角川書店・2012年3月)より。句集はこの句で締められている。自然、人間、世界…根源を見せてくれる一冊。