よき知らせ冬の昼寝をしてをれば  細川加賀

昼寝といえば夏の季語だが、冬だって昼寝はする。炬燵に半身を突っ込んで、うつらうつらしていたそのとき、電話がかかってきて「よき知らせ」が舞い込んできたのだ。はがきか手紙が来たのを、妻が郵便受から持ち帰ってきたのかもしれない。「冬の昼寝」というとぼけた行為が、「よき知らせ」をまったく予期していなかった、この人のこれまでの人生と人柄とを演出してくれる。

「俳人協会賞受賞決まる」と前書あり。『細川加賀全句集』(角川書店・平成五年四月)より。