こんな寒い季節だからこそ、部屋の中をあたたかくすることができる。
そんなぬくぬくとした部屋の中で、辞典を片手に英文を読むも、少しぼーっとしてしまう。
ぼんやりしていると、辞典の中にふっと「家鴨」が見えた気がする。
簡略化されやすい「家鴨」の姿だからこそ、
アルファベットも日本語もぎっしり詰まった「英和辞典」だからこそ、「家鴨」がよぎるのである。
この「家鴨」を単純に「duck」と捉えても面白い。(「a hill」もあり得る)
あまたの単語が並ぶ辞典の中から、「家鴨」に出会うというささやかな運命も立ち上がってくる。
ふつうならば、冬めくや、と上五で切れを作るような句であるが、「冬めきて」とすることにより、
部屋の中のあたたかな充足感とともに、一句の韻律に注力する作者の姿勢が感じられる。
『鳥飛ぶ仕組み』(現代俳句協会、2012)より。