詩のことばかすみの肌に彫られたり  高屋窓秋

漠としてとらえどころのない霞の肌に彫られたことばとは、なんと消えやすいものだろう。
霞というふわふわとした気体になにかを「彫る」ことは現実にはかなわない。
詩のことばとはそういうもので、しかしどこかに必ず、そのことばの気配は漂っている。
手ごたえはない。それでも彫る人がいる。

『現代俳句の世界16』(朝日文庫 昭和60年)より。