連名のバレンタインのチヨコレート  吉年虹二

昨日たまたま見ていた「シェアハウスの恋人」というドラマ、バレンタインデーのドタバタだった。主人公が新しく赴任した小さな支社の上司(五十歳くらい?)は、今まで一度もチョコレートをもらったことがなかったのが、主人公に義理とはいえチョコレートをプレゼントされ、舞い上がって喜んでいた。大げさに描いているのだろうけど、大の大人の大はしゃぎのさまは何だかかわいらしくて、つい微笑んでしまった。義理チョコでそこまで喜んでくれたら、ありがたいものである。

掲句は、完全に義理チョコ。職場の女性たちが連名でくれたのだ。嬉しいような、でもシステマティックで味気ないような…。しかし女性の名前がいくつも書かれているのだから、華やかであることは間違いない。実際、一人だけで買うよりは束ねたほうが資力もあるので、ちょっといいチョコレートも買えるだろう。「ほら、○○さんだって、たくさんもらっても、ねえ」という言い訳のもとに、連名チョコは今日もあちこちでやりとりされるだろう。

「バレンタインのチョコレート」というフレーズはそれだけで12音使ってしまっているので、私たちに工夫ができるのは冒頭の5音のみ。しかし、田端美穂女は「いつ渡そバレンタインのチョコレート」と詠み、行方克己は「われに一つバレンタインのチョコレート」と詠んだ。さあ、あなたなら、上5にどんな5音をもってきますか?